じろが肛門嚢腺癌(肛門嚢アポクリン腺がん、AGACA)と診断を受け、分子標的薬の投与を勧められた前後に調べたことをメモ的に書いています。
じろはのん気にしてましたが、ちょうどその頃親戚も癌になってしまい、私は内心不安で人間の癌も含めて調べました。
医療の知識がなにもない素人が調べたことなので100%本気にせず、この飼い主はこう思ったんだなぁ〜程度にみていただけると幸いです。もし間違いや、配慮に欠ける表現があれば申し訳ありません。

そもそも癌とはなんぞ?
がん細胞のもとは誰にでもある
わたしたちの体では、毎日細胞分裂が起こっていて、その際にDNAが突然変異を起こすのはよくあることだそう。
そのたびに修復されたり自滅するようになってるから問題にならないみたい。
でも、たばこ、感染、食品、薬品などに含まれる有害物質、放射線、ストレスやホルモン、慢性炎症などに長期被爆すると、突然変異が生じやすくなったり、修復・自滅機能にダメージを与えて発がんする可能性が高くなるんだね。
動物はたばこを吸わないけど、副流煙を吸ってる場合もあるかもしれません。

修復や自滅機能、免疫細胞などが排除できないものが癌になる
そうやって発生したがん細胞も、主にNK細胞、あとはリンパ球や好中球などの免疫細胞が排除してくれているので、普通は癌を発症しないのだそう。でも、がん細胞は免疫細胞から見ても見分けにくくて見逃してしまうこともあり、また、がん細胞自身が「免疫抑制細胞」を増やして隠れ蓑に使うこともあるんだって。
そのうえ、免疫力が弱くなっているとがん細胞を排除できなくなってがん化する、ということらしい。
癌が成長するとどうなる?
癌は1cmになるまで10年かかる!?
癌は1cmの大きさになるまで10年以上かかる事が多いけど、そこからの成長スピードは、悪性度の高い癌ほどめちゃめちゃ速いらしいです。10年というのは人間のデータだけど犬もおそらく似た感じではないでしょうか。だから癌の早期発見は難しいし、手術で摘出しても1cmでも残っているとあっという間に再発してしまうそう。

逆に言うと、癌が見つかってから「予防に効く食事や生活習慣」に変えても時既に遅しのことが多い。
癌の予防と治療は全く別物で、一旦大きくなってしまった癌を小さくする効果は、予防法にはない事が多いと。
だから「癌の発生を妨げる食品で、癌を治す」などと謳っている療法は、丸々信用しないほうがいいということですね。
がんは成長するとどうなるの?
肝臓や肺、骨などの何分の1かの機能が停止したくらいでは死に至らないので「癌=すぐ死んじゃう病気」ではないらしい。
肺の半分以上、脳、心臓などの重要臓器が壊されてしまった場合や、癌ってほら塊なので血管を詰まらせて酸素や栄養素不足を起こしたり、その塊が破裂して大量出血を起こしたり、血液にも異常を起こすらしい。その他いろんな合併症などで死に至るとのこと。
がんの死因の約2-30%が悪液質らしい。なにそれ?
がんが進行すると、体が常に炎症を起こして脳神経系・内分泌系・代謝系・免疫系の異常を引き起こし、代謝異常や食欲不振になったり、食事をちゃんと採っていても低栄養状態になってしまうそう。その状態を悪液質と呼ぶらしいです。栄養障害が元に戻らないと死に至ったり、細菌やウイルスに感染しやすくなり、感染症での死亡も多くなってしまうらしいです。
癌は治療するな、放置しろという意見も聞くけど?
放置派
医学界ではあまり受け入れられてはいない、近藤誠医師の「がん放置療法」というのが存在するようです。
誤解を恐れずにかいつまんでいうと、「がんは発生時に運命が決まっている、手術してもダメなものはダメ、手術しなくても大丈夫なものは大丈夫。手術や抗がん剤は正常な臓器もダメージを受けるが、放置したガンはあまり痛くない。同じ死を迎えるのにどちらを選択するか?」ということらしいです。
反対派
これにはいろんな人が反論していて、「抗がん剤治療には、実際に明確な治療効果がある」という意見も尤もだと思うし、癌を放置して死なせてしまったという事件もググればいくつか見つかります。
- 何度でも言おう。「がん放置療法」は決して信じてはいけない(石川 幹人) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
- 近藤理論を放置してはいけない(勝俣 範之):日経メディカル
- がん研究者が心の底から「標準治療を選んで!」と訴える理由(大須賀 覚) | ブルーバックス | 講談社(1/3)
いいとこどりをしたい
私は勝俣医師の言う「過剰な治療でQOLを損なった方を見た方も多く、近藤先生の意見にも正しい部分はある。しかし一部に共感して全部信じてしまうと間違った方向に行く」という部分に賛成です。
うちの両親もよく言うけど「あの人はピンピンしてたのに、癌が見つかって入院した途端亡くなってしまった」という話もよく聞きます。
それは癌の進行が速く、治療したから悪くなったように見えただけかもしれない。もしくは近藤医師の言う不要な治療だったのかもしれない。現代の医学では分からない何かが起こったのかもしれない。
「手術や抗がん剤=危険」なのではなく、本人の年齢や体調を考慮しながら、本人が太く短く生きたいのか、納得行くまで治療したいのかを十分考えた上で適量な標準治療・緩和ケアをするのがいいんじゃないかなというのが私の意見です。
なのでじろも、基本は標準治療をし、緩和ケアも並行で行う。QOLが下がらないように体調をよく観察して過剰治療しないように気をつける。そして現代の医学では分からないこともあるので、怪しげでないものだったらトライしてみようと思っています。

実際に手術してみてどうだった?
手術前は、両親は「手術なんてしたら絶対に死んでしまう!」と大反対。おまけにセカンドオピニオンの先生が手術に反対だったので迷いました。
でも腫瘍の成長スピードが速くて、かかりつけの先生から「このまま放置すると排便困難の可能性が高い」と言われ、悩んだ挙げ句手術を決心し両親を説得。
結果、手術してよかったのではないかと思います。
分かりませんよ、これから何度も再発したりしたら、ちょっとだけ手術に疑問を持つ日が来るかもしれません(後悔はしないつもりだけど)。
手術した場合・しなかった場合のデメリットを秤にかけて、マシな方を選ぶしかなかったです。特に高齢の場合は手術の危険が跳ね上がりますし。
じろの場合は手術後、麻酔からすぐ覚め感染症もなく、便が垂れ流しになったのは1日だけ。すぐ傷も綺麗に治り、手術前は排便時に少し苦しそうだったのが、苦しまなくても太くてちょうどいい硬さのうんちができるようになりました。
先生の手術の腕がよくて、肛門括約筋を傷つけずにギリギリのところを取ってくれたんだと思います。
放置してたら今頃高カルシウム血栓で腎臓が悪くなっていたかもだし、腫瘍が自壊して感染症や、排便困難で手遅れになってからの手術だったかもしれない。放置のリスクのほうが高かったかなと思います。
先生、それから応援してくれたTwitterのみなさん改めてありがとう!